2018北信越ジュニアテニス選手権大会U1412会場(石川県・辰口テニスコート)。
試合が一番いい練習とはよく言われることだが、試合をしながら上手くなっていければ最高。
今大会ノーシードながら全日本ジュニア出場を決めた信田航がまさにそうだった。
シングルス5試合を戦い5位、ダブルス4試合で4位。
ダブルスは全日本ジュニア出場ならなかったが、シングルスは苦しみながらも初戦を競り勝ったのが大きかった。
初戦のスコアは 1-6 7-6(6) 7-6(6) 。
当然だがこの試合を落とせばそれ以降の4試合は存在せず従って4試合分の経験がなくなることになるのだから初戦を勝った意味は大きい。
そんなこと当たり前だと思うかも知れないが、試合に勝った最高のプレゼントは次の試合、次の新しい対戦ができることなのだ。
2回戦は第7シードに6-2 6-1と勝利、 準々決勝では第1シードを破って出てきた相手に4-6 6-7(4) と惜しくも敗退、5-8位決定戦に臨む。
この2勝1敗の経験がそれ以降の試合に多いに役立つことになる。
U14男子の出場枠は5人なので5位になれば全日本ジュニアへの出場が決まるのだから何としてでもまず5-8位決定戦の初戦を勝ちたいところ。
その初戦は第3シード相手に6-1 2-6 6-3勝利、いよいよ全日本ジュニア出場を掛けた5-6位決定戦は第5シードに5-7 6-3 6-4 と勝利。
猛暑のなか、苦しい接戦を勝ち抜いて全日本ジュニア出場をゲットした。
勝利のカギは第1セットにあったか。
航は1-5とリードされてからもセットをあきらめることなくじわじわと追い上げていく。
1-5 2-5 3-5 4-5そして5-5と。
5-7で惜しくも第1セットは落としてしまったが流れを掴みかけたことと苦しい暑さに順応したこともあってか第2セットを6-3と奪還するとファイナルセット6-4で勝利。
マッチポイントは相手のドロップショットをバックハンドのドロップショットで切り返しウイナーを取っての勝利、21回のラリーだった。
対戦相手に感謝をしなければいけない。
それまでの単4試合と複3試合で対戦してくれた相手がこの勝利に導いてくれたと言えるのだから。
12歳以下男子で一段と光っていたのはシングルスで優勝した水澤康生(第5シード:上越グリーンITS)だろうか。
準々決勝で第2シードを、準決勝で第4シードを、そして決勝では第3シードを破っての優勝。
攻守のバランスが取れている上に、どのショットでも無理のない体の動きをする。
加えて状況判断が良いのでポジション取りも適切でディフェンスからオフェンスへの切り替えも実にスムーズ。
ミスをしても冷静、良いプレーをすると元気な声でカモン!
さわやかな笑顔であいさつもきちんとできる。
まだ小柄だが今後が楽しみな選手の一人だ。
プレー以外の光景、あれこれ。
ソロチェアアンパイヤーの付いたダブルスの試合が終わった。
選手はラケットをバッグにしまったりボールを缶に入れたり水筒を肩に掛けたりしながらそのままコートを立ち去ろうとするので、私はコートに走り寄りフェンスの外から、アンパイヤーと握手をして丁寧にお礼を言うんだよ、とやや語気を強めてうながした。
そう言われた選手二人はアンパイヤーの方に走って行き、握手をしお礼を述べた。
この炎天下、審判台の上で長い時間試合を見守ってくださる人に対して感謝の気持ちを伝えることこそフェアプレーだろう。
それを見ていた対戦相手の二人、自分達はどうしたらいいんだろうという表情で私の顔を見たので、あなた達もそうしたら?と。
すると、二人も同様にアンパイヤーと握手そしてペコリとお礼。
別の試合が終わって立ち去ろうとする選手にロービングアンパイヤーが大きな声で、コートブラシを掛けてくださ〜い、と言った。
すると選手は無言でラケバを置いてブラシをかけ始めた。
ハイ、とか、分かりました、とかの返事はないのかなあと私が言うとロービングアンパイヤーも、そうだといいのにね〜と。
外はとんでもなく暑いので、冷房の効いたクラブハウスはいつも満員。
コートに通じる引き戸は大きなガラスドアで、 重くて開け閉めがひと苦労。
ようやく開けてやおら出ようとすると・・・外側から選手がスーッと入って来た、これ幸いとばかりの良いタイミングで、何も言わずに、ね。
ハウスで椅子に座った選手に母親が飲み物を差し出す。
選手は何も言わずにそれを受け取り飲み始める、当然のように。
ありがとう、はないのかなあ。
今大会、良い選手がたくさんいてレベルの高い試合を繰り広げた。
でも日常行動のレベルはあまり高いとは言えない・・・かな。
忘れ物が多いのもその現れかもしれない。
ボールを打つことだけがテニスじゃないよね。