なじらね~
朝練は自転車でコートまで。
早朝なので車も人もまだ少なく、ちょっとペダルに力を込めれば自転車もかなりのスピードを出してくれる。
後方に流れ去る景色の中にはいろいろなものがあるが、私の目は花を探しているよ、4月半ばの、よく晴れた朝。
11月から息長く咲いて新潟の白の冬景色に赤の彩りを刻んでくれた山茶花もさすがに全ての花びらを散らし、緑を濃くし始めた。
次に咲く季節、次の秋に向けて すでに準備を始めたようだ。
交差点で信号待ちをするあいだ、角の銀行脇の花壇にあるヒペリカムカリシナムに目をやると、今は葉っぱを茶色に染めて太陽の光をいっぱいに吸い込もうとしている。
冬でも葉を落とさないこの花、葉の色を変えて寒さに耐えながら太陽エネルギーを取り込み厳しい寒さをやり過ごすようだ。
これから次第に緑を増し6月頃の開花に向けて準備をしているのだね。
その知恵、その生命力に驚く。
(撮影:2019/4/18)
そう言えば、昨年の初夏の頃、同じ場所で信号待ちをしている朝、花壇のヒペリカムカリシナムに水をあげている若い銀行員に声をかけたことがある。
(私)ヒペリカムカリシナム、綺麗に咲きましたね!
(銀)あ、ハイ、そうですね、え、この花、そんな名前なんですか・・・ホントだ、黄色が確かに綺麗ですね。あ、すみません、この花、今なんて言いましたっけ・・・。
(撮影:2018/6/8)
和名を弟切草(おとぎりそう)と言うこのヒペリカムカリシナム、覚えにくい名前ではある。
が、一旦咲けば、緑の葉の背景と黄色の大きな花びらのコントラストが際立つ。
しかも花の中心から沢山のしべが放射状に広がり、その華麗な姿で目を楽しませてくれる。
おそらく毎日水をあげていたであろうあの行員、花の名前を覚えているだろうか。
まあ、別に名前を知らなくてもいい、ヒトが勝手につけただけで花がそう名乗っているわけでもないのだし。
花がそこにあり、水をあげ大事にする人がいて、それを眺める自分がいて、確かな朝がある。
信号が変わった。
さあ、テニスコートへ。
子どもたちが待っている。